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所得税の計算方法

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年11月13日

1 所得税の計算方法の概略

所得税は、おおむね、1年間の収入から1年間の所得を計算し、所得から所得控除を差し引き、差し引いた後の金額に税率を乗じ、税額控除を差し引くことにより計算できます。

ここでは、所得税の計算方法について、基本的な説明を行いたいと思います。

2 収入、所得の計算

まず、1年間の収入から、1年間の所得を計算する必要があります。

どのような計算を行うかは、所得の種類によって異なります。

⑴ 給与を受け取っている場合

給与を受け取っている場合は、収入から給与所得者控除を差し引きます。

給与所得者控除の金額は機械的に計算できるよう定められています。

⑵ 公的年金を受け取っている場合

公的年金を受け取っている場合も、収入から公的年金控除を差し引きますが、公的年金控除の金額も機械的に計算できるよう定められています。

⑶ 事業を行っている場合

自営業や不動産賃貸、農業等の事業を行っている場合は、これらの事業から生じた収入にも所得税が課税されることとなります。

事業を行っている場合は、収入から実際にかかった経費を差し引きます。

いくらの経費を差し引くかは、実際にかかった経費がいくらであったかによって変動します。

⑷ 不動産や株式を売却した場合

不動産や株式を売却した場合には、売却代金が収入と扱われ、所得税が課税されることがあります。

この場合には、不動産や株式の売却代金から、売却に要した費用を譲渡費用として差し引きます。

さらに、過去に不動産や株式を取得するのに要した費用が確認できる場合には、これを取得費として差し引くこともできます。

これらを差し引いた残額が所得として扱われることとなります。

3 所得控除

所得からは、一定の金額を差し引くことが認められており、これを所得控除といいます。

所得控除を上手に利用することにより、所得税を軽減することができます。

所得控除には、いくつかの種類があります。

⑴ 社会保険料控除

まず、1年間に支払った社会保険料については、所得から差し引くことができます。

これを社会保険料控除といいます。

ここで差し引くことができる社会保険料には、同居人等、生計を一にする親族の社会保険料も含まれます。

⑵ 生命保険料控除

1年間に支払った生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料についても、そのうちの一定額を所得から差し引くことができます。

これを生命保険料控除といいます。

ここでも、同居人等、生計を一にする親族の保険料も差し引くことができます。

⑶ 地震保険料控除

1年間に支払った地震保険料についても、5万円という上限がありますが、所得から差し引くことができます。

これを地震保険料控除といいます。

⑷ 医療費控除

1年間に支払った医療費については、10万円または総所得の5%を超える金額について、所得から差し引くことができます。

これを医療費控除といいます。

ただし、高額療養費、医療保険等で補填された部分については、医療費控除の対象にすることができません。

同居人等、生計を一にする親族の医療費も控除対象にできる点は、生命保険料等と同様です。

⑸ その他

他には、ふるさと納税等、寄付を行った場合に利用できる寄付金控除があります。

上限額がありますが、1年間に行った寄付のうち2000円を超える金額について、所得控除の対象とすることができます。

4 所得税の計算

このようにして算定された課税価格について、一定の税率を乗じて、所得税額を算定します。

所得税については、累進税率がとられており、所得が増えれば増えるほど、税率も増えることとなります。

このため、所得税の限界税率は、5から55%まで変動します。

5 税額控除

以上により算定された所得税額から、さらに、税額控除分を差し引くことができます。

税額控除のうち、馴染みが深いのは、住宅ローン控除です。

上限金額がありますが、住宅ローンの年末残高に0.7%(一定の場合は1%)を乗じた金額について、所得税から差し引くことがあります。

さらに、源泉徴収済みの所得税や予定納税済みの所得税を差し引くことにより、その年に納付すべき所得税額が算定されることとなります。

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