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生命保険について契約者貸付がなされていた場合の相続税

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年4月20日

1 契約者貸付とは

生命保険契約がなされている場合に、保険契約者が保険会社から貸付を受けることができる場合があります。

これを契約者貸付といいます。

契約者貸付がなされている場合には、保険契約者は、通常の消費貸借と同じく、貸付金の返済を行うこともできます。

他方、契約者貸付の返済がなされていない状況で被保険者が亡くなると、保険金受取人が受け取るべき生命保険金から、貸付金の返済が行われることとなります。

このため、保険金受取人は、本来受け取るべき生命保険金から、貸付金を差し引いた金額のみを受け取ることとなります。

このように、貸付金を差し引いて生命保険金の支払いがなされた場合には、相続税はどのように課税されることとなるのでしょうか。

2 被相続人自身が保険契約者になっていた場合

被相続人自身が保険契約者になっている場合には、次の点に注意する必要があります。

このような場合には、生命保険金がみなし相続財産と扱われ非課税限度額の対象となり、さらに契約者貸付金が債務控除の対象となると考えてしまいがちですが、これは誤った考え方です。

保険金受取人が現実に受け取ったのは、生命保険金から契約者貸付金を差し引いたあとの金額に過ぎませんので、差し引いたあとの金額がみなし相続財産と扱われ非課税限度額の対象となります。

3 被相続人以外の人が保険契約者になっていた場合

被相続人以外の人が保険契約者となっている保険契約について、被相続人が保険料の支払いを行うことがあります。

このように被相続人が保険料を支払っていた場合も、生命保険金が相続税の課税対象になるとされています。

このような場合にも、保険金受取人は、本来受け取るべき生命保険金から、貸付金を差し引いた金額を受け取ることとなります。

他方、保険契約者は、生命保険金の一部が貸付金の返済に充てられることにより、貸付金に相当する額の利益を得ることとなります。

以上は、生命保険金の支払いがなされ、そのうち、「生命保険金-貸付金」については保険金受取人が、「貸付金相当額」については保険契約者が取得したと捉えることができます。

このため、保険金受取人については「生命保険金-貸付金」が、保険契約者については「貸付金相当額」が、それぞれ、みなし相続財産として扱われ、非課税限度額の対象にもなり得ることとなります。

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