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青色申告ができる条件

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年10月3日

1 青色申告の制度趣旨

青色申告は、一定の所得について認められた申告の方法です。

内容について簡単にいうと、手間をかけてきちんとした帳簿や申告書類を作成する代わりに、所得税の課税を軽減する制度を利用することができるといったものです。

青色申告を行うと、55万円の青色申告特別控除を受けることができ、所得税が軽減されます。

e-Taxを用いて電子申告を行った場合は、青色申告特別控除の額が65万円に増額されます。

ただし、後述の現金主義、簡易簿記で帳簿を作成した場合は、青色申告特別控除の額は10万円になります。

他にも、専従者給与を必要経費にできること、純損失の繰越し・繰戻しができること、貸倒引当金の計上ができること、少額減価償却資産の特例が適用できることといったメリットがあり、所得税の負担が軽減される可能性がある制度を用いることができます。

ここでは、どのような条件を満たせば青色申告を行うことができるかについて、説明したいと思います。

2 青色申告を用いることができる所得

所得には、給与所得、事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得等、様々なものがあります。

このうち、青色申告を用いることができるのは、事業所得、不動産所得、山林所得に限られています。

事業所得は、事業活動から発生する所得です。

不動産所得は、土地賃貸、建物賃貸により発生する所得です。

山林所得は、5年を超えて保有している山林の伐採、譲渡により発生する所得です。

これら以外の所得、例えば、給与所得や配当所得には、基本的には青色申告を用いることができません。

また、前述の55万円または65万円の青色申告特別控除を選択することができるのは、事業所得または事業的規模の不動産所得に限られます。

参考リンク:国税庁・青色申告特別控除

不動産所得については、事業的規模でないものについては、55万円または65万円の控除を選択することはできません。

事業所得でも事業的規模の不動産所得でもない場合は、10万円の控除を受けることができるのみとなります。

事業的規模であるかどうかは、いわゆる5棟10室基準で判断されることが多いです。

つまり、貸家の場合は5棟以上、アパートの場合は10室以上、駐車場の場合は50台以上であれば、事業的規模と判断されます。

ただ、上記に満たなかったとしても、合計の賃料が多額である場合は、事業的規模と認められることもあります。

3 青色申告を開始する条件

青色申告を開始する場合は、一定の条件を満たす必要があります。

事業活動を開始した場合は、開業届を行ってから2か月以内に、青色申告承認申請書を提出する必要があります。

すでに事業活動を行っている場合は、3月15日までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。

参考リンク:国税庁・所得税の青色申告承認申請手続

これらの手続が漏れていた場合は、白色申告と扱われ、青色申告はできず、青色申告特別控除等の適用も受けられなくなってしまいます。

4 青色申告の適用を受ける条件

青色申告では、手間をかけてきちんとした帳簿、申告書類を作成する必要があります。

青色申告の場合は、発生主義で帳簿を作成する必要があり、現金の動きが生じていなかったとしても、取引がなされた時点で帳簿に記載する必要があります。

現金の収入・支出があった場合に帳簿に記載すればよい現金主義と比較して、帳簿を作成する手間が大きいです。

また、青色申告の場合は、複式簿記で帳簿を作成し、貸借対照表、損益計算書を作成する必要があります。

複式簿記とは、原因である取引と結果である現金の動きに分けて、帳簿に記載する方式です。

現金の収支を記載すればよい簡易簿記と比較して、帳簿が複雑になり、作成の手間が増えてしまいます。

貸借対照表とは、ある時点における事業者の事業上の資産状況を記載した書類になります。

損益計算書とは、ある期間における事業者の利益または損失の内容を記載した書類になります。

ただ、青色申告であっても、前述の10万円に限って青色申告特別控除を受ける場合は、現金主義、簡易簿記でもよく、貸借対照表や損益計算書の作成も不要とされています。

事業的規模でない不動産所得、山林所得については、そもそも10万円控除しか選択することができないですし、事業所得、事業的規模の不動産所得であっても、55万円または65万円控除ではなく、10万円控除に限って利用することを選択することができます。

これらの場合には、現金主義、簡易簿記の記帳で済むこととなります。

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